同じクラスの女子はそう聞いたが、先輩は苦笑するだけ。
時間がない。
その意味深な言葉が、ずっと俺の頭をグルグル回っている。
本当に「俺よりも先に卒業する」という意味だったのだろうか。
俺は、もっと深い意味がある、と思った。
それに、先輩が卒業しても毎日のように俺に会いにきそうだし。
『ごめんね』
『……わかりました。
こちらこそすみません』
そして、話が終わった。
女子らがこちらに走ってくる。
校舎を出た彼女らと一瞬目があったが、すぐに逸らされ、グラウンドへ向かって走って行った。
俺はさっきの言葉の意味をずっと考えていた。
考え込みすぎていて、気づかなかったんだ。



