『静野琉生くん』
『……はい?』
『一緒に衣緒を探してほしいの!』
一度見たことのある北村先輩の友人。
その人が俺にそう頼んできたときは、びっくりした。
『衣緒が1年の女子に連れて行かれたきり、戻ってこないの。
私は校舎裏探すから、玄関の方見てきてくれない?』
どうして俺に頼むのかわからなかった。
だけど、不安そうに俯いている先輩の友人を見たら、断れなかったんだ。
『きっとあなたなら、見つけられる気がする』
どこから来るのかわからない自信を伝えられ、俺はさらに断れなくなった。
いや、もしかしたら最初から断る気なんてなかったのかもしれない。