「どうしてここに……?」
私は「大丈夫」と答える前に、そう聞いた。
琉生くんは、私のことを抱きかかえてから、その質問に答えた。
「先輩の友達が、俺のところに来たんすよ」
桃葉が?
どうして?
「先輩がグラウンドにまだ来てないから、一緒に探してほしいって」
……そっか。
桃葉が私を心配して、わざわざ琉生くんに頼んでくれたんだ。
「先輩の友達は今……」
「琉生くん、見つけてくれてありがとう」
琉生くんの言葉を遮って、私はそう伝えた。
琉生くんの不安そうな表情を、少しでも和らげてあげたくて。
琉生くんなら私を見つけてくれる。
桃葉はそう思ったから、わざわざ琉生くんに頼んだんじゃないのかな?
私の勝手な推測だけど、きっと桃葉ならそう思った。
きっと、ね。



