「時間がない?……それって、あたしたちより早く卒業するから、あたしたちより静野くんと会う時間が少ない、ってことですか?」
女の子の問いに、私はただ苦笑するだけで、何も答えなかった。
答えられなかった。
「ごめんね」
「……わかりました。
こちらこそすみません」
礼儀正しくお辞儀をして、女の子たちはグラウンドへ行った。
いい子だったな。
自分のお願いをただ突き通すだけかと思ったのに、私の言い分もちゃんと聞いてくれて。
「私も早くグラウンド行かなくちゃ」
グラウンドで桃葉が待ってる。
それに……。
琉生くんの姿を、早く見たい。



