「どうかしました?」
「う、ううん。大丈夫だよっ」
ダメダメ。琉生くんに心配かけちゃ。
目眩もすぐなくなったし、大丈夫だよね。
うん。大丈夫。
「大丈夫」は魔法の言葉。
声に出せば、きっと本当に大丈夫になるんだから。
私はニッコリと笑顔を向けた。
琉生くんに、目眩があったことを悟られないように。
「……」
琉生くんは何か腑に落ちない様子だったが、私は強引にその話をやめて、桃葉の待つ応援席に戻った。
本当はもう少し琉生くんと一緒にいたかったけど。
わがままはいけないよね。
琉生くんに心配されて嬉しかったけど、
やっぱり琉生くんと一緒にいるときは、笑顔でお話したい。



