「足速いね、彼」
「でっしょー!?」
「なんで衣緒が自慢気にそう言うの」
「好きな人のことだから♪」
「はいはい」
若干呆れたように桃葉は笑う。
好きな人のことを褒められたら、嬉しい。
自分のことのように嬉しいよ。
だからつい、笑顔になって。
時間も忘れてしまうくらい、見とれてしまうんだ。
琉生くんはもちろん一位でゴール。
二位と圧倒的な差をつけて。
まぁ、その二位は我ら赤チームなんだけどね。
それでも、琉生くんが一位なことが嬉しいから。
私は心の中で、「やった」と大はしゃぎで喜んだ。
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