「あー!!」
「ど、どうしたの衣緒。いきなり大声出して……」
「琉生くんに出る種目聞くの忘れてた…」
がっくり、と肩を落とす私に、桃葉は乾いた笑顔を向ける。
まあ聞かなくても琉生くんの姿なら、いつどこにいても見つけられる自信はあるけどさ。
やっぱり種目聞いてたほうが、効率良かった気が……。
写真撮るにも、出る種目がわかっていれば万全の準備ができたのに。
「そんなに気を落とさなくても……。
あ、もうすぐ始まるよ。行こ」
「う、うん」
体育祭。
今日、“何か”が起こることなんて、知る由もなく
私は桃葉と一緒に、グラウンドへ向かった。