やっぱりケチだな、琉生は。 俺は「ちぇー」と唇を尖らせながら、前を向く。 だんだんと暑くなってきた季節。 気づいたのは、特別な感情の面影。 もうすぐ体育祭。 そこで動き始めるのは、きっと小さくて大きな何か。 そこで掴む“何か”は、この恋ととても関わりがあるだろう。 でも、誰にだって未来はわからない。 さあ、気づくのは俺か、琉生か。 「琉生、俺はまだ負けてねぇからな」 俺はまた意味深にそんなことを呟いた。 琉生がこの言葉の意味に気づくのは、いつになるだろうか。