俺は気づいてるんだぞ。 お前の中に芽生えている感情の名に。 琉生自身は、まったく気づいていないみたいだけど。 「ヒントは何一つ教えてやんねー」 「意味不明なんだけど」 「ははっ、一生考えてろ」 眉間にしわを寄せて「わかんねぇ」と呟く琉生の横を通り過ぎ、俺は小さく口角を上げた。 これは俺なりの対抗心で、この恋を付き合っていくためのひとつの手段。 「あっ、琉生!」 俺は振り返って、まだ考えている琉生の名前を叫んだ。 「帰りにアイスおご……」 「奢らねぇからな、絶対」