「志恩、帰ろうぜ」 「お、おう」 すぐに戻ってしまった琉生の表情。 琉生は気づいていないのかもしれないけど、俺は騙せないぜ? 琉生、お前は――……。 「私も一緒に……」 「ダメっす」 「……ま、いいか。体育祭で琉生くんのこと連写しちゃうもんねー」 「やめてください」 「これは決定事項です」 琉生は「……はぁ」と重いため息をついて、行こうぜ、と俺に囁いた。 衣緒さんに背中を向けて歩き出した琉生。 ふと衣緒さんの方を振り返れば、衣緒さんはさみしげに微笑んでいた。