「そうなんすか」
「うん。琉生くんの優しさに一目惚れして、毎日会うたびにいいところを知っていって……、私の中では琉生くんじゃなきゃダメなの」
頬を赤らめた衣緒さん。
きっと今、衣緒さんの頭の中は琉生一色なんだろうな。
――ズキ……
恋に落ちた瞬間、失恋かよ。
まあ、そんなのわかりきったことだけどさ。
この胸の苦しみが、予想以上にきつくて、俺は表情に出ないように必死に耐えた。
「きっと死ぬまで、私は琉生くんのことが好きなんだと思う」
「死ぬまで……?」
「うん。死ぬまでずーっと」
最初で最後の恋、というやつだろうか。
琉生なんてこれっぽっちも衣緒さんに恋愛感情を示していないのに、「死ぬまで」なんて、スケールが違う。



