さっきだって、斎藤って奴に告られてたし。
衣緒さんは可愛いから、周りの男が放っておかないだろうし。
琉生はいい奴だけど、それは俺が琉生のことをよく知っているから。
よく知らない奴から見れば、見た目は良くても愛想のないつまらない奴だ。
なのに、衣緒さんは琉生にぞっこんだ。
なんでなんだろう。
「琉生くんは、優しいから」
「え?」
「知らない人にでも優しくしてくれて、無愛想だけど親切で、不器用だけど温かくて……」
衣緒さんは「言い出したらキリがないね」と、一旦言葉を切った。
俺からしたら、衣緒さんの方が鋭い観察眼を持ってる。
まだ会ったばかりなのに、琉生のことを俺以上にわかっている気がするんだ。
「最初は一目惚れだったの」



