短編集

トン...と音を立てて堀井は私を挟んで壁に手
を当てた。

すべてが近くに感じて胸の鼓動が収まらない。


その上堀井は今までに見たことのないくらいやさしい顔をしていた。

思わず吸い込まれそうになってしまう。


「やばい...かっこいい...」


そう言ったとたん、自分の発言に羞恥を覚える。


(わわわわ..!ちょっと待って、今私なんて言った?!)


一気に顔が赤くなっていく。
堀井はやさしく微笑んで、


「お前の顔、すごいやばい。」


いたずらに私の耳のそばでささやいた。

何を言われようと今は反論できる状態ではないと思い、じっと堀井を見つめた。



長い沈黙は、私たちを別世界へ誘っていた。

なんか話してよ、って目を見たら離せなくなってしまった。


(いやいやいやいやなになになに?!なんでこんな優しい顔してんの?!ていうかそんなに見つめないで!!心臓とまるから!!!)


おーい堀井ー


嫌な沈黙を破ったのは私でもなく堀井でもなく、堀井の友達だった。

やばいじゃん、みつかったらどうしよう!!

すると堀井は耳元で

「満足した、またな」

____大丈夫じゃないかも。

足は動かないし、動けない。お前のせいだ。

堀井はいつもの顔にもどっていて、よくみる笑みに変わっていた。