ピンポーン── 只今、時刻は9時半。 そして私は優人の家の前にいる。 昨夜、淳平先輩からラインで〝念のため優人を迎えに行ってくれない?〟と言われたのだ。 前日までずっと嫌がっていたんだ、さすがに心配なんだと思う。 そんな彼を迎えに行くのは、幼馴染みであり家が近所の私。 『はい』 インターフォン越しに女の人の声が聞こえ、〝前田です〟と伝えると快く門を開けてくれた。 私は門を通り抜け、玄関までの道を歩く。