「そんな妹も家のことを気遣って部活辞めてバイトするとか言ってる。
けど、俺は…それだけは避けたいんだ…妹には好きなことに打ち込んで欲しい、笑顔でバスケの話をしていて欲しい」



「…先輩…」



こんな素敵なお兄ちゃん、そう簡単に見つからないよ。



「俺…母さんにも父さんにも妹にも感謝しきれないほど感謝してるんだ。だから…俺が今…出来ることを精一杯したいんだ」



最後まで淳平先輩の言葉を聞いた時には、私の瞳には涙が溜まり、静かに頬を伝った。



「じゃあ、帰ろうか」



話し終えた先輩は私にいつもの笑顔でそう言った。



「はい!」



だから私は負けじと、涙で赤くなった目を擦り笑顔で頷いた。