*
「紗代さん、今度、ちょっと遠出をしませんか?」
「遠出…ですか?」
「はい、もちろん日帰りなんですが、ロシアのバレエを見に行きたいなって思いまして…」
「バレエですか。良いですね!
私、バレエなんて見たことありません。」
「僕もです。
実は、先日、バレリーナが主役の本を読んだんです。
ロシア文学です。
それが、実に感動的な話で…そのせいか、生のバレエがどうしても見たくなりましてね。
でも、そんなのやってないだろうと思ってたら、なんと、あったんです!
たまたまロシアのバレエ団が来日してたんです。
それが今週の土曜日で…ただ、すこしばかり遠いんですが…」
「そうですか、それはご縁かもしれませんね!
ぜひ、行きましょう!」
「良かった!
紗代さんならきっとそうおっしゃって下さると思って、実は、もうチケットを押さえてあるんです。」
バレエの公演のある町までは、特急で三時間くらいかかる。
待ち時間や、駅からホールまでの時間を考えると、四時間弱かかるかもしれない。
(それなら泊まりでも良いのに…)
そんなことを考えながらも、やはり言葉には出来なかった。
はしたない女だと思われたらいやだから。
開演が6時半からだから、上演時間が二時間としたら、そこから猛ダッシュで帰っても着くのは、深夜の0時頃になる。
ギリギリ日帰りが出来る距離だ。
遠い事には何の抵抗もない。
最近は、旅行もしてなかったから、ちょっとした旅行気分を楽しめそうだ。
移動中、照之さんとどんな話をしよう?
どんな服を着て行こう?
初めてのバレエはどんなものだろうか?
土曜日が来るまで、私は遠足を待つ小学生のように、浮かれた気分で日々を過ごした。
「紗代さん、今度、ちょっと遠出をしませんか?」
「遠出…ですか?」
「はい、もちろん日帰りなんですが、ロシアのバレエを見に行きたいなって思いまして…」
「バレエですか。良いですね!
私、バレエなんて見たことありません。」
「僕もです。
実は、先日、バレリーナが主役の本を読んだんです。
ロシア文学です。
それが、実に感動的な話で…そのせいか、生のバレエがどうしても見たくなりましてね。
でも、そんなのやってないだろうと思ってたら、なんと、あったんです!
たまたまロシアのバレエ団が来日してたんです。
それが今週の土曜日で…ただ、すこしばかり遠いんですが…」
「そうですか、それはご縁かもしれませんね!
ぜひ、行きましょう!」
「良かった!
紗代さんならきっとそうおっしゃって下さると思って、実は、もうチケットを押さえてあるんです。」
バレエの公演のある町までは、特急で三時間くらいかかる。
待ち時間や、駅からホールまでの時間を考えると、四時間弱かかるかもしれない。
(それなら泊まりでも良いのに…)
そんなことを考えながらも、やはり言葉には出来なかった。
はしたない女だと思われたらいやだから。
開演が6時半からだから、上演時間が二時間としたら、そこから猛ダッシュで帰っても着くのは、深夜の0時頃になる。
ギリギリ日帰りが出来る距離だ。
遠い事には何の抵抗もない。
最近は、旅行もしてなかったから、ちょっとした旅行気分を楽しめそうだ。
移動中、照之さんとどんな話をしよう?
どんな服を着て行こう?
初めてのバレエはどんなものだろうか?
土曜日が来るまで、私は遠足を待つ小学生のように、浮かれた気分で日々を過ごした。



