横顔の君

*



「ただいま。」

「お帰り、遅かったのね。」

「え?う、うん……」



家に帰った私は、いつもみたいにすぐに部屋には戻らず、居間でテレビを見てたお母さんの隣に腰を降ろした。
最近、休みというといつも照之さんと過ごしてて、お母さんと一緒にどこかに行くようなことはなかった。
そのことを悪いと感じながらも、なかなかお母さんのために時間を取ることが出来なかったから…



「お母さん…じ、実は、私ね……」

「どうかしたの?」

「あ、あのね…」

「どうしたのよ、おかしな子ねぇ…」

お母さんに見られると、余計にうまくしゃべれない。



「実は…私…今、お付き合いしてる人がいるの……」



なんで、告白してしまったのかわからない。
でも、なぜだか私は照之さんとのことを話していた。



「そう、やっぱり……」

「え?」

「気付いてた…
あんた、わかりやすいんだもの……」

「そ、そうなの?」

お母さんは肩を震わせ、くすくすと笑った。



「今日もその人と会ってたんでしょう?」

「う、うん……」

お母さんにはすっかりバレてた。
それなのに、嘘なんか吐いて…はずかしい。



「そう…良い人なの?」

「うん…そのうち、お母さんにも会いたいって言ってた。」

「あら…もうそこまで話は進んでるの?」

「ご、誤解しないでよ!
お付き合いしてるってことを話したいみたい。
べ、別に結婚とかそういう話が出てるわけじゃないからね。」

「そうなの?残念ね。
妹の季代の方が先に片付いたんだから、あんたも少しは焦りなさいよ。」

「もう、お母さんったら!」

お母さんの肩をばしんと叩いた。



本当にそうなったらどれほど嬉しいだろう。
照之さんと結婚出来たら、家はすぐ傍だから、お母さんのことも心配ない。



隠岐紗代…
言葉の響きはちょっと微妙だけど、漢字にしたらけっこうおさまりは良い…



「なに、あんた、にやついたりして…
はは~ん、今、彼氏のこと考えてたな。」

「ち、違うわよ!
にやけてなんかないってば!
わ、私、お風呂に入って来ようっと。」

私は焦ってその場を後にした。