「無理しなくて良いんですよ。
あなただって、テルのことを知ったらきっと…」

「いえ!私は…私はどんなことがあっても、絶対に照之さんの方が好きです…!」



興奮して大きな声を上げてしまったから、照之さんは目を丸くして、私をみつめてた。



「照之さん、本当にごめんなさい。
こんなこと言えた義理ではないと思いますが…
私を許していただけますか?
もう一度、私にチャンスを与えてもらえませんか?
私……やっぱり照之さんが好きなんです。
あなたじゃないとだめなんです…!
これから先もずっとあなたといたい…!」



私はなんて虫の良いことを言ってるんだろう?
だけど、それは嘘偽りない私の本心で…

照之さんのことが好き!この世の誰よりも…
照之さんとは、絶対に離れたくない!
そう思ったから、身体から溢れるように素直な言葉が飛び出した。



「紗代さん……」

照之さんは、私をそっと引き寄せ、その胸で抱きしめた。
照之さんの温もりが、規則正しい鼓動が、私の身体に伝わる…



「照之さん…本当にごめんなさい。
私…私、もう二度とあなたを疑ったりしませんから…
だから、どうか許して下さい。
あなたの傍に居させてください。」

「ありがとう…
その言葉だけで、もう十分です。
私はあなたを責めるつもりはありません。」

「照之さん……」



溢れ出す涙はとてもしょっぱかった…



まるで、叱られた子供みたいに、私は照之さんの胸で泣き続けた。
でも、その胸の温もりはとても安心できるもので…



もう二度とこんな過ちは犯すまいと、
この人から、絶対に離れるものかと、強く心に誓った。