横顔の君





それからも毎日電話がかかって来た。
日が過ぎるごとに、かかってくる回数が増えて行った。



まさか、照之さんは夜遊びしてるところを見られてるなんて思ってないだろうから、意味がわからず、それで何度もかけてくるんだろう。



そのうちに、なんともいえない気分になって、照之さんの番号を着信拒否した。
電話がかかってこなくてほっとしたのも束の間…
今度は、家電からかかってくるようになったから、それも拒否した。



いくら、こういうものに疎い照之さんでも、着信拒否されてることは気付いたはず。
そうすれば、そのうち勘付くはずだ。
自分のやってることが私にバレたんじゃないかって…
そしたら、きっと諦める。
私なんて、どうせ遊びの相手なんだから、ショックも何も受けないだろう。



そんな人のために悩んだり苦しんだりするのは馬鹿馬鹿しいこと。
それはわかってることなのに、それでも私の心は深く傷ついて…
部屋でひとりになると、ついつい涙がこぼれてしまう。
職場やお母さんの手前、必死で元気なふりをしてるけど、それももう限界…
辛くて…逃げ出したくてたまらない。
ここにいたら、いつか照之さんに会うんじゃないかって思うから、どこか遠くに逃げだしたくてたまらない気持ちになっていた。
家の住所や職場のことを詳しく話してなくて良かったと思った。
駅の反対側ってことは知ってても、『吉村』っていう苗字だけでは多分見つからないと思う。
職場からは遠回りをして通ってるから、それも大丈夫だと思うのだけど、やめようかとも考えている。
職場の人達とはうまく行ってたし、近いからすごく助かってはいるのだけど…



やがて、そんな日々はいつの間にか三か月程経っていて…



私はまだショックから立ち直れないものの、今の状況にも慣れ、ようやく現実と向き合えるようになりかけていた。



そんなある日……