横顔の君





「食パン、ここに置いとくね。
じゃ、おやすみ…」



かろうじて平気な顔が出来たのはそこまでだった。
自分の部屋に入った途端、涙が溢れ、止められなくなった。



やっぱり、前の彼と同じだった。
どんなに疑って見ても、私にはやっぱり真実を見抜く目はなく、簡単に騙されてしまった。



どこまで鈍感なんだろう…
どうしてわからなかったんだろう…



照之さんは、こんな私を見て、笑ってたんだろうか?
愚かな女だって、あの綺麗な人と一緒に馬鹿にしてたんだろうか?



悲しさと口惜しさに唇を噛みしめた。



その晩は、止まらない涙に溺れ、少しも眠れないまま朝を迎えた。