side???


ガチャ。


屋上のドアを開けたとき、いつもと違うことに気づく。


誰かの気配がするな。


自分でも動物かと思うが、野生の勘は鋭い方でいつもと違う空気に警戒する。

いつもならもう少し遅くに仲間と登校する俺は、なぜか今日は苦手な朝も突破できた。

家にいても外に出てもいつも誰かに囲まれている環境。

周りからの期待の視線に感じる重圧。

そんな空気も嫌いではないが、たまに一人っきりになって孤独に支配されたくなる。

この時間なら学校には誰もいないと踏んでとりあえず溜まり場に向かったのだが。


いつものあの感覚だ。


俺らの仲間内しかこの屋上には近づかない。

いつも来た時に感じる気配と同じ。

いつも最初にここに来ると人のいた気配はするが、今日は完璧にまだ誰かいる。


害はなさそうだな。


そう思い気配のする方へ向かうと、女が1人寝ていた。


誰だこいつ?


見たことない顔で、でもめちゃくちゃ美人な女が寝ていた。

こんな奴がこの学校にいたのかとまじまじと顔を見ていると、その女の口が動いた。


「…っ!?」


頰を一筋の涙が伝っていた。


なんだこいつ。
夢ん中でなにを見てるんだ?


辛いならこっちに帰ってこい。


そう思った俺は、無意識にその女の肩を揺すっていた。