私は思わずタブレットから顔をあげて、先生の顔を凝視した。
なぜこの人は知っているんだ。
なぜそんなことを聞くの?
この人はなにを知っているんだ。
私はもう一度タブレットに視線を移したが、何と書けばいいのかわからずなかなか手を動かすことができないでいた。
「あみちゃん、僕はね一応医者なんだ。
君が負っているその傷を治すこと、そしてその傷をもう負わせないために君を守る方法を考えていくことが、君の主治医になった僕の役目だと思っている。
その傷がたんなる打撲じゃないことくらいわかってるし、君の家の事情もお母さんの態度でだいたいの予測はできる。
でも、もしかしたら僕が思っているのとは違う何かが君を傷つけているなら、君を守る手段は変わってくる。
だから話してみてくれないかな?
僕はただ君を助けたい。
君の声が聞ける日が、1日も早く訪れてほしいんだ。
だから、勇気を出してみてくれないかな?
亡くなったご両親のためにも、何より自分のために。」

