俺たちは頷いて、とりあえず隣の診察室の前のベンチに座って待った。
カツ、カツ、カツ。
病院だってのに、どんだけ廊下に靴の音響かせてんだよ。
ガン飛ばそうと顔を上げると、思わず顔をしかめた。
なんだこの香水の匂いわ。
どうやらあいつらも、この匂いには耐えられなかったようだ。
龍矢は真顔だが、思いっきり息を止めている。
陸斗にいたってはむせてどこかへ行ってしまった。
悪臭の主を見ると、顔は地味だが全身ブランド物で固めてるババアが、こっちに向かって歩いてきていた。
あいつの継母だろう。
案の定、あみのいる診察室の前で足を止めて、ノックして入っていった。

