幸せの先






少しすると、正樹が総一郎と一人の看護師を連れて帰ってきた。




「お前ら責任もって頼むぞ。」



総一郎は俺らの顔を見ると、殺気をブンブン出して言った。




「わかってる。逃げ出したりしねーよ。」




そう言うと総一郎は頷いて、看護師に病院の電話から、あみの生徒手帳に書かれた番号に電話をかけさせた。





「こんにちは、◯◯病院の者です。山内あみさんのお母様でしょうか?

お嬢様のあみさんが学校で倒れたそうで、こちらの病院に搬送されまして、ご家族の方にきていただきたいのですが。

はい、意識がまだ戻っておりません。倒れた原因がわからない状態でして、はい。

念のため1週間ほど入院してもらうことになると思うので、入院の用意をお願いします。

はい、お待ちしております。はい、失礼します。」




そう言って看護師さんが電話を切ると、総一郎が「悪いな。」と言った。




「いえ。もう少し入院してもらいたかったんですけど、さすがに検査だけで2週間はやり過ぎかなって。大丈夫ですか?」




この看護師は事情がわかっているようだ。
総一郎のお気に入りなのだろう。
そうとう頭がキレる女だ。




「完璧だ。なんなら入院してからでもでっち上げればいい。部屋は個室にして、鍵がかかるところにしておいてくれ。」



「わかりました。看護師は、私とあと5人が担当することになりました。」



「わかった。なるべく誰も近づけるな。」




総一郎がそう言うと看護師は頷いて、



「準備にはいります。失礼します。」



と言って出て行った。




「なんで誰も近づけるななの?」





そう徹が聞くと総一郎は悩んでから、パソコンを立ち上げて、なぜか入学時に学校に提出する書類を出した。