あみの額と首を触り、脈を確かめると、
「先に行ってて。」
と看護師さんに言って、そいつはこっちを振り返った。
看護師に運ばれていくあみを見てから、医者につめよった。
「総一郎、あいつ大丈夫なのか?」
その時爆音とともに、陸斗と龍矢がバイクで病院に着いた。
「賢一、あみちゃんは?」
「今運ばれた。」
俺は答えそうにないとわかっていた正樹が、俺のかわりに龍矢に答えた。
「兄貴、大丈夫なんだろーな?」
陸斗が医者に聞いた。
そう、こいつらは兄弟。
この医者の名前は飯田総一郎、この大学病院の病院長の息子だ。
「ああ。大丈夫だろう。呼吸も浅いがしっかりしてるし、体温もそこまで低くなかった。」
「とりあえず待ってろ。」と言われた俺たち5人は、診察室の前の待合室で30分くらい待つと、ドアが開いた。
「入っていいぞー。」
入るとベットに横になって、点滴をして眠っているあみ。
「大丈夫そうだ。栄養失調と貧血と疲労だな。なんかのショックで急に倒れたんだろう。あと言いにくいんだが…。」
そこまではペラペラ喋ってたくせに、ここまできていきなり黙った総一郎。
「なんだ、はやく言えよ。」
総一郎は俺たちの顔を見てから、もう一度俺の顔を見て、「ここからは何を見ても絶対に声に出すな。」と言って、あみのワイシャツの袖を二の腕までまくった。
俺以外の4人が思わず息をのんだ音がした。
これはいったい…。
あみの腕は、もとの皮膚の色がわからないくらに黒く、青くなっていた。
だがそれは二の腕だけで、腕は綺麗だ。
「なんだこれは?」
そう聞くと、総一郎はため息をついて袖をもとに戻して、診察の自分の椅子に座って、俺たちの方に椅子を出した。
俺たちが座るとカルテを見ながら話始めた。
「二の腕、胴体、太ももの上の方だな。全部この状態だった。」
「DVか。」
龍矢は疑問系ではなく独り言のように呟いた。
「おそらく。昨日今日できた傷ってわけではなさそうだ。長期間誰かに殴られ続けてる可能性が高い。あと…。」
「どうやら頻繁な性的な行為もされてるみたいだ。体のいたるところに内出血いがいの痕が残っていた。それは本人が受け入れているものなのかわからないが、まあお前が気に入ってる女じゃ、多分それはなさそうだろ?」
そう聞かれても今日知り合ったばかりだからな…。

