Side 正樹 病院に着くとすでにストレッチャーが待機してあった。 それと一緒に顔見知りが一人立っている。 車から降りると、そいつは賢一の顔を見て、 「賢一、ずいぶん余裕なさそうだなー。」 ニヤニヤしながら近寄ってきた。 「いいからはやく。」 「ああ。」 あまりみんな見たことのない賢一の緊迫した表情に、そいつも流石に空気を読んで黙った。 こいつは一応、大学病院の医者だ。 患者の状態がいい悪いは一眼見て判断でき他のだろう 賢一の腕の中にいるあみをストレッチャーにのせるように言われた。