「悪い。はやく歩きすぎた。」


途中私がいないことに気づいたのか、迎えにきてくれたようだ。


すいませんの意味を込めて頭を下げて、顔を上げると賢一さんに朝のように頭を撫でられた。


「行くぞ。」


そう言って歩き出した賢一さんは、さっきよりもゆっくりで私に合わせて歩いてくれているようだ。

もう売店の近くまでは来ていたからすぐに着いて、私は適当にお惣菜パンを1つとパックジュースを買い外で待っていてくれた賢一のところへ行くと、すでに大量のポテチやらチョコやらを買い終わっている状態だった。

目を丸くして大量のビニール袋を見ていると、賢一さんは


「あいつらの菓子の消費量半端なくて。毎日大量に頼んどいて、ここに受け取りにくんだよ。」


ああ。男の人の胃袋って底なしってよく言うもんね。


なるほどとうなずいた。

一方賢一さんは、私の持っているお惣菜パンと、パックジュースを見ると顔をしかめて、ちょっと待っとけ。と言ってまた売店の中に入っていってしまった。


なんだろう?


数分して帰ってきた賢一さんの手には、パンやら、おにぎりやら、お弁当やらが大量に入った大きなビニール袋が1袋増えていた。


「帰るぞ。」


そう言って歩き出す賢一さんの後を追う。


お惣菜パン見て、お腹空いたのかな?


そんなことを考えながら歩いていると、ちょうど授業が終わったのか、教室からいろんな人が出てきた。


「賢一さんじゃん‼︎」


「やば、ちょーかっこいい!」


「隣りにいる女だれ?」


うわーお。賢一さん本当すごい有名人なんだ。


女子の視線が賢一さんに集中しているなか、当の本人は私を見ていた。


なんだろう?


賢一さんと目があうと、悪い。と謝られた。

何を謝られているのかわからない私は、首をかしげると


「あんま気にすんな、この野次馬の言うこと。」