幸せの先



はたしてそんなに勢いよくドアを開ける必要があるのだろうか?


そう思ったがとりあえずあいさつをと思い、頭を下げた。

遊びに来たと言った賢一さん。


座っておしゃべりでもするのかな?


そう思った私は、財布を持ったまま、人数分の椅子を教室の後ろに並べ、お客さんに椅子に座るように勧めた。


私の家でもないのに、何してるんだろう。


急に自分の行動が恥ずかしくなって、入り口に立っている人たちをチラッとみると、賢一さん以外の人たちは驚いた顔をして私の顔を見ていた。

賢一さんは、「さんきゅうな。」と言って教室に入り椅子に座った。

その後からお友だちそんたちも、「お邪魔します。」やらなんやら言って教室に入てきた。

ガヤガヤとみんなそれぞれ賑やかな感じ。みんなが喋っていて、一音も聞き取れない。

どうやら私の考えている、おしゃべりしに来たはあながち間違ってはいなそうだ。

私は立ったままお友達を観察していたが、先に座っていた賢一さんに視線を移すと、彼もこちらを見ていることに気づいた。

首をかしげると


「どっか行こうとしてたのか?」


と聞かれた。


どう言えばいいのか分からなかったから、とりあえず財布を持った手をあげて、お腹を押さえた。