幸せの先




「賢一、お前もまだ青いな。」



そう言った親父の目は、俺が何もわかっていないと言っているようだった。




「どういうことだ。」





「この刺青がなければ、あみは今頃親と一緒に殺されていた。」





そう神崎のおっさんは言うと、あみの頭を優しく撫でた。





そこで俺は気づいた。





そういうことか。





「神崎がいつも見張っているって証。





あみに何かあれば、いつでも神崎を敵にまわす事になるってことか。」






「そうだ。たかが刺青。




されどこの刺青には、神崎の誇りがある。





だからこの子を育てた、薄汚い奴らもあみを引き取ったんだろう。





なんらかの神崎から対価を支払われると考えて。」