スーツの人の声を遮って賢一さんの声がした。

賢一さん。

会いたい。

でもここから出るのが怖いの。

「あみ、そこは暗くないか?寒くないか?俺はお前がいないと寒い。出てきて、俺をあっためてくれ。」

「さ、むい。」

「ああ、俺もだよ。だからほら。」

コンコン。

「ここ開けてくれ。そしたら俺がそっちに行くから。」

少し扉を開けると、光が入ってきた。
けどそれも一瞬ですぐに、あのいい匂いの賢一さんと共にまた暗闇になった。

ギュッと私から抱きつく。

「怖かったな。こんな暗いところで1人で。」

うん。と頷くと賢一さんも私に腕を回して抱きしめてくれた。

「俺がいないとお前すぐ冷たくなるから、なんか優越感。俺があっためてやらないとな。」