口からこぼれ落ちた単語。
私の口から。
どうやって話すのかなんて忘れた私から、自然と出た単語


今自分は何を言ったの?



「誰だ⁉︎」



見えない誰かの鋭い声。
何も考えずに走りしていた。



これは何の記憶?
いつの出来事?
なぜわかったの?




自然と口からでてきた、その単語に私は戸惑うと同時に、その場から今すぐ逃げないといけないと思った。




どこに向かってるかなんてわからない。
とにかく何処か遠くへ。






後ろから足音が追ってくるのが聞こえる。
わけもわからずに角を曲がり、適当な扉を開けてなんの部屋かもわからず逃げ込んだ。





鍵をかけてドアの前に膝を抱えて座り込むと、自分が震えていることに気づく。





部屋は真っ暗で、何も見えない。



怖い、怖いよ。




幼い頃のように震えながら泣いていると、足音が部屋の近くで止まった。