幸せの先

くしゃくしゃと頭を撫でられて、よしっと立ち上がる賢一さん。


「腹減ったし、そろそろ戻るか。」

そう言って差し出してくれた手を握って、立ち上がる。

この手を離さないと行けない時が来ませんように。

切なる願いだった。


"トイレ"

「そうだ、トイレ行ってる程だったな。案内する。」

そう言って長い廊下を歩いて行くと、これまた大きいトイレに着いた。

「行ってこい。道わかるか?」

まっすぐ歩けば着くだろうと思い、頷く。

「じゃあ先に行ってるな。」

1人にしてくれようとしたのだろう。
何も言わなくてもこんなに理解してくれる。
こんな人に出会えるなんて。

さて、戻ろうかな。

長い廊下をまっすぐまっすぐ進んで行く。

あれ?
ここはどこ⁉︎