私が繋がれた手をギュッと握ると、ため息を吐いた賢一さんは立ち上がり、私もひょいっと引っ張られて立ち上がった。
組員の人たちを見ると、さっきの賢一さんのドス黒さに恐怖のあまり下を俯いたまま、動けず棒立ちになっている。
可哀想。
お父さんを見ると、呆れ顔でこちらを見ている。
お母さんはニコニコだ。
私はおろおろ。
当の本人はというと…
すんごい不機嫌そう。
いつもの強面がより一層強くなって、私でもさすがに怖い。
そんな顔をなぜかこちらに向けている。
困った。どーする、私。
とりあえず見られている事に対して、なーに?と首を傾げる。
そしてら少し表情が崩れた。
繋いでいた手を離され、その手は私の後ろにまわって、私は賢一さんの腕の中に。
賢一さんの胸に身体を預け、胸に耳を当てる。
私も賢一さんにならって、彼の腰に腕を回す。
こうするのが1番このシチュエーションでは正解だと思うし、抱きしめられた途端安心して思わず身体が動いたというのが本当のところだ。
ただ、たくさんの人が見ている事を忘れていたという、大変なミスを犯した事を少ししてから気づく。

