お風呂からあがると脱衣所には着替えが置いてあった。
私が手に取ると、
「もうちょっと可愛い部屋着買おうとおもったんだけど、賢一が部屋着くらい普通のにしろって。
これじゃあ、普通じゃなくて、地味よね?」
と、お母さんが着替えの手を止め、私の手元を見て渋い顔をして言った。
お母さんが気に入らないその部屋着は、
下はグレーのスエットで、
上は、有名なスポーツブランドのロゴが胸の所に大きくプリントされている、黒いパーカーだった。
普通に可愛いし、これくらいシンプルな方が落ち着いて好きだ。
それに値段的には、かなりレベルの高い部屋着だ。
このチョイス、賢一さんに感謝だ。
さっき着ていた、お母さんが選んだという私服もそうだが、どうやらお母さんは少しお姫様ちっくな趣味があるようだ。
私はそのスエットを持ちながら、そんなことないと首をふったが、お母さんは納得してない様子。
お母さんはそれ以上何も言わずに、ダイナミックに着替えを再開した。
私も急いで着替え、お母さんといっしょに脱衣所を出た。
「賢一、どこにいるかしら。とりあえずリビングに行ってみましょう。」
お母さんはそう言って歩き出した。
たどり着いたのは、これまた広い部屋。
脱衣所からかなり長い道のりだ。
このお家、いったいどんだけ広いんだろう…。
方向音痴な私は多分またお風呂場に行けと言われても、たどり着けないだろう。
リビングはさっきの和室とは違って、洋風な感じで、大きな窓から外に出られるようになっている。
ソファーが並んでいて、真ん中に座ってテレビを見ている賢一さん。
座ってテレビを見てるだけなのに、なんとも絵になる。
「賢一、あみに家の中案内してあげて。」

