私は何も言わずにじっとしていると、手を外されてお兄さんに顔を覗き込まれた。


「大丈夫か?」

同じ事を聞かれて今回こそは答えた。

コクっと頷くと、お兄さん立ち上がって私に手を差し出した。


「そろそろ俺の仲間来るから、今のうちに教室に行っとけ。」


もうそんな時間なのか。


私は頷いて、お兄さんの手を借りて立ち上がってお礼の意味で頭を下げた。


「お前、名前は?」


私は制服の内ポケットから生徒手帳を出してお兄さんに見せた。