「ところで。今回の特訓、何か成果はあったんですか?」


その気遣いに気付かずに旭は話をすり替えるように、慌てて話題を別の方向へと変えた。

質問をした旭から答えろと言おうとした柚太であったが、そんな気も知らずに隣の佐和が元気よく答えだす。

その後に続いて次々とこの特訓での成果を語り出した。


「ワタシ、高く跳べる距離が1メートル上昇しました!」

「……とりあえず、少しだけバテにくくなりました。本当に少しですが」

「持てる重さの最高記録を3.1キロ伸ばした」

「み、3つまでなら聞き分けられるようになりました!!」

「…………今年“も”なし。コントロールが難しいから仕方ないけどね」

「数学の分からなかった所が分かるようになって、満足だね」

「私は……あ、難しい漢字が1個読めるようになった!」