咲が行動を共にする筈の友達を探していて、監視はすっかり忘れていると言う事を。

そして自分の元へとやってくると言う事も。更にはその先も……。


「隠さなくて良いよ。監視出来ていないんでしょ? ま、ボクも人の事は言えないか。
ただでさえ人が密集している場所が苦手だっていうのに、監視だなんてさ」

「では、おあいこ……でもないですね。でも此処からなら何をしているか、がよく分かりそうですね」

「でしょ?」
「私も此処でしばらく監視をして良いでしょうか?
きっと私の友達も、話に夢中で私を探すのをやめていると思いますし。他にも先輩達がいますし」


咲の一緒に監視したいという提案に、“ああ、やっぱりか”と言わんばかりの奏は、

たった一言“好きなだけどうぞ”と微笑みながら呟いた。