何か怒らせるような事を言ったんじゃないかと不安になった蛍人であったが、


「そうか、そんな事情があったのか。でもやっぱりお前の事情なんて知ったこっちゃねえや」


柚太がまた心ないようにも聞こえる発言をした。

隣にいた佐和が柚太をどつく。“何て事を言っているのよ”と言わんばかりに。


「やっぱり蛍人。お前バカだ。こっちが勝てば良いだけじゃないか。
勝って魔性の女に自分に近寄るなって願いを言ってやれば良いんだよ。願いは1人1つずつ叶えてくれるんだし」


そうだそうだと言わんばかりに佐和や旭、咲は言う。

それにポカンと口を開けたままの蛍人がいた。

さっき自分がそう思って複雑な気分になったと言うのに。

何故だか柚太が言うとその複雑な気分がどうでもよくなり、どこかへ吹き飛んでしまう。