「行ってきまーす!」


私は逃げるようにそう叫ぶと
まだなにか言っていたママを無視して
いつもより30分早く家を飛び出た。


………ママ、ごめん。



でも今日は

今日だけは………



ハルと学校に行くのは、無理です。




昨日のことを思い出して思わずまた、赤面する。




キス………

甘くてやわらかかったなぁ……



気づけば指先を唇に触れていたのに気づいてハッとする。




違う違う!
あれはきっと夢なんだからっ!



頭をぶんぶん振ると私は早足で歩き出した。




そうだ。こんなことしてる暇なんてない。

今日は…

今、ハルに会っちゃったら


絶対しゃべれないし……


なにより、顔がほてって目も合わせられない。


だから、ハルに会わないために苦手な早起きをがんばって早く家を出たんだから………


急がなきゃっ。



そう思って走り出そうとすると………





「しー?」