[晴side] たぶん、これは夢だ。 だって、あまりにも、俺に都合が良すぎるから。 ぼやけた頭で、言い訳のようにそう考える。 頬にひんやりとした手が添えられたかと思うと 唇に、やわらかなものが押し付けられた。 それと同時にふわり、と香る甘く優しい ――しーの、香り。 忘れない。 忘れるわけがない この感触。 甘くやわらかな しーの唇。 そんな、昔のことを思い出したからだろうか 俺にも、いわゆる、魔が差した。