俺はそっとカーテンを開けて、七葉の寝顔を見つめた。
可愛い…
保健室でふたりきりなんて、理性がぶっとびそうだ。
身体が触れ合うか触れ合わないかギリギリのところまで近づけた。
でもそのとき、七葉が目を覚ました。
俺はびくっとして体を離し、
何事も無かったかのように言った。
「七葉、やっと起きた」
七葉はしばらくボーッとしていた。
俺の存在に、気づいてない?
「え?」
やっとこっちを向いた七葉は怪訝そうに言った。
目があって、ドキドキする。
今すぐにでも襲いたい…
なんたってここは、ふたりきりの保健室なんだからな。
って、そんなことを考えている場合じゃない。
なんか言わなくちゃ。
「もう3時間目だよ…?保健の先生が起こそうとしたのに、七葉起きないから…」
動揺していた俺は、嘘を言ってしまった。
別に起こそうとなんかされてないけど、なんでもない話題を話さないといけないと思ったから…
「…先生は…?」
「お客さんが来てるとかで今いないよ。しばらくしたら戻ってくるかも知れないけどね」
今度はちゃんと、ほんとのことが言えた。
「伸行はどうしてここに?」
まだ胸のドキドキが収まらない俺は、ついこんな事を言ってしまった。
「…だって、七葉が心配だったから」

