「もう、教室戻るから」
あたしはそう言って、伸行が止めるのも聞かずに保健室を出た。
なんなの…あの男…
結莉の悪夢から解放されたことなんてもう忘れてしまった。
伸行の言葉だけが頭を支配する。
『深く受け取るな』
あの言葉が頭から離れない。
振られたからって、そんな事、言う??
最低な男だ…
腹が立ったまま教室に入る。
「あ、谷口さん、大丈夫?」
ちょうど3時間目の途中だったようで、数学の教科担任がそう言った。
「はい、もう大丈夫です」
「保健室で有原くんと会わなかった?」
…その名前。
聞きたくもない…
「…わかりません。起きてすぐ戻ってきたんで」
「ふぅん、じゃあ隣のベッドで寝てたのかな」
先生はブツブツとつぶやいた。

