あなたと過ごした日々

「私ね、物心ついた頃には病院のベッドで寝てたの。それから何回か病院を転々としてて、入退院の繰り返し。だから外の世界のこと何も知らないんだ」




なるべく雰囲気を悪くしないように、笑顔で説明すれば死神の顔が少し曇った。



『お前さ、無理して笑顔作るのやめたら？』




呆れたように言われ、言葉が詰まった。



《無理なんてしてない》喉まで出かかった言葉は飲み込まれて、出てきたのは別の言葉。




「あはは…結構完璧な笑顔だったと思うんだけどな」



『バレバレだっての。まぁいいけどよ、それより外の世界の話聞きてぇんだろ？』




その言葉に、一瞬で損ねかけていた機嫌が直った。我ながら現金。




「あ、でもその前に貴方の名前教えて」



『そういや名乗ってなかったか。水波 神都(ﾐｽﾞﾅﾐ ｼﾝﾄ)。呼び方は自由にしろ』





水波 神都…？

あれ…どこかでこの名前…聞いたことある気が…。