もう一度…

「シオンっ!!」

神崎さんの大きな声が、静かな家に響いた。

私たちも慌てて階段を駆け上がった。

「シオン!シオン!
なんでこんなに冷たいんだよ…

目を覚ませっ!ほら、早く!」

息はしているのに冷たく、ピクリとも動かないシオンの体。
まるで、体はそこにあるのに魂が無いような……


ミカはシオンの体を擦りながら、ただ泣いていた…


その時、急に神崎さんが言った。



「…シオンを寺に連れて行く……
ここでは除霊はできない…」


「「え…」」

「ここではできないんですか…?」
と、私が聞くと
 
「ここは奴らに、囲まれてる……
家の周りも、この部屋も…

悪霊はシオンを消したいんだ…
シオンがいなくなれば、自分たちの好きなようにできるからな…だから、シオンの力が弱まっている今、
霊界から出てこようとしてる…

でも、奴らが完全に出てこれないのは、
シオンが抑えてるから…意識がなくても、力が弱まっていても仕事するんだな……」

そう言って、神崎さんは、シオンを抱きしめた。

「「……」」




「……よしっ、寺に向かう。
連絡するからシオンを見ていてくれ…」


そう言って、部屋を出てどこかに電話をかけ始めた。