見上げるは福寿草、君は春という名の天使。


「んー?なにー?」

「なんでアタシの髪をアンタが拭いてるのよ!?」

「え?何でって…ハルカいつも命令してくるじゃん。たまには僕からした方が良いのかなぁって」


 苦笑いして拭く手を止めた。ハルカが嫌がるなら、止めようと。


「な、アタシはそんなにーー。いや、なんでもないわ。………ありがと。続けてちょうだい」


 何か言いかけて、そっぽを向いて僕に"命令(お願い)"をしてくる。



 ………。不意打ち。ずりぃぞ、ハルカ。


「ふぅっ」

「ひゃあっ!?」


 仕返しでうすく赤い耳に息を吹きかけてやった。





 ………、反応、したな。