【短編】スキキライダイスキ

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あの日。

あの子のお母さんが必死に探してきた桜のスポットで。

あの桜の中で、あの子は旅立っていった。


最後に呼ばれた名前は、いつまでも耳に残っている。

あれから二年だ。

また同じ地で花見をするいつもの顔ぶれ。

君は“何も残したくない”なんて言ってたけど。

君の思っているより多くのものを、君は残していったね。

「まだ蕾のもあるねー」

ふと聞こえた声に揃って反応して、名前の主を探してしまうほど沢山のものを。

君だけを取り戻せないまま、時は過ぎていく。



君のいた春は、いつまでも眩しい。



Fin.