【短編】スキキライダイスキ

「うわ、きれー…」

思わず息を飲むほど咲き誇る桜。

「ほら、蕾ちゃん」

日向が車椅子を押してきて、私を座らせてくれた。
お姫さま抱っこって恥ずかしいんだな。

「ありがとう」

「さっ、始めよ!」

お姉ちゃんの声でお花見スタート。

お菓子やジュースがたくさん開けられる。

私はあまり食べられないけれど、存分に楽しんだ。

話は主に昔ばなし。

ほろほろほろほろほろ出てくる話に時には赤面したり。

日向とのなれ初めだったり。




時間は瞬く間に過ぎるもの。


ついにその時が──やってきた。


「っ…!」

突然、胸を襲う痛み。

今までになく息が苦しくて、辛くて、涙で視界がにじむ。

「蕾っ、蕾っ!」

お母さんとお姉ちゃんの声。

“その時”が来ても、何もしないで?

私の言葉を約束として守る家族。

「今、まで……あり、ありが、とう……」

私の笑顔は届いただろうか。

「やだっ、そんなこと言わないでっ、蕾!やだ、やだ、やだぁっ!!」

「大、丈夫。こ…め。大、す、き…だよ」

「蕾っ!!」

「蕾ちゃんっ…!」

「ひゅ、が。し、あわせ、に……」

「やめなよそんな、」

「好き、だ…から。に、な……」

意識が遠退いていく。

次第に視界が暗くなって─────。