【短編】スキキライダイスキ

空はまだ春の柔らかい蒼色。

もうすぐ桜が咲くだろう。

その頃にはきっと、私は。

遺書は書かない。誰かを縛る何かを残したくない。

関わった時間は短かったけれど、本当はずっと知っていた。

誰にでも優しくて、たまに見透かすような目をして。

ずっとずっと知らないふりをしていた。

「大好きだったよ、日向…」

「そんな終わりみたいなこと言うなよ!!」

けたたましい音がして、聞こえるはずのない声が私の耳に入った。

「何でここに…?」

病気だなんて教えるはずがないのに。

「篠原ちゃんから聞いた。それより、」

日向は荒く息を切らしたまま私を睨む。

「なんで過去形なわけ」

「それは…」

「まだちゃんとした返事聞いてない。早くカレカノになりたいんだけど?」