【短編】スキキライダイスキ

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日に日に体が衰弱していっているのは分かっていた。

薬の量が増えて、辻先生にも叱られて。

以前ならすんなり受け入れていただろう言葉も全部、私にとっては煩わしいものになっていた。

大切なものが増えてしまったから。

私はワガママになってしまった。

もっと小梅と一緒に笑いたいと思った。
もっとお母さんのご飯が食べたいと思った。
もっとお姉ちゃんとドラマで号泣したいと思った。

もっと──日向の隣にいたいと思った。


限界だと、私の身体が告げたような気がした。

だからせめて。

あのとき、真剣な目をした日向を私で縛りたくないと思ったんだ。


きっと日向は私のことを忘れない。
どんな形や関係であれ人の死は簡単に忘れられないから。

日向、幸せになって。

小梅、ごめんね。

嘘をつかせたのにはもう一つ理由があるんだよ。

小梅には私の死ぬ姿なんて見せたくなかった。
きっと小梅は自分を責めるから。

小梅、ありがとう。

小梅。日向。

でもやっぱり。

「死にたくない……会いたいよ……」

頬を熱い涙が滑る。

こんなにも世界が綺麗だなんて普通に生きてたら分からなかった。

もっと傍にいたい。
でもそれさえ叶わないなら、幸せを願うことしかできない。