★**★*★*★**★**★*★*★*★
─日向side─
蕾ちゃんとトレーニングを始めて二週間。
今日が決戦の日だ。
俺はテニス部に入る気はないし、入らない。
負けるわけにはいかない。しょうもないけど。
元から運動神経がそれなりに良かったから別にわざわざコーチをつけるほどでもなかったのだ、本当は。
簡単に言うと、蕾ちゃんに近づく口実。
冷たいようでものすごく優しい蕾ちゃんがずっと気になっていた。
高一の頃からだ。
篠宮さんに話しかける蕾ちゃんの笑顔と、クラスでの人を寄せ付けない態度。
どこか違和感を感じていた。
ときたま寂しそうな表情さえ見せていた。
好んで《独り》になるやつなんていないから。
気になって気になって──いつの間にか、恋をしていた。
そして、
「蕾ちゃん、俺が勝ったら付き合って」
「え?」
真っ赤な顔をするから魔が差した。
「し、試合まえでしょ。何言って…」
「嫌なら、逃げて」
顔を近づける。
唇に触れた、温かいもの。
彼女は、逃げなかった。
でも。
「ごめん、無理」
何で謝るんだよ、そう言いたかったけど言葉が出てこなかった。
何で、そんな顔。
そんな泣きそうな顔をするんだ。
名残惜しくも審判に呼ばれて、コートへ向かう。
蕾ちゃんの表情と、痩せた身体に注ぎこむ大量の薬が気になっていた。
今までが、彼女の精一杯とも気づかずに。
─日向side─
蕾ちゃんとトレーニングを始めて二週間。
今日が決戦の日だ。
俺はテニス部に入る気はないし、入らない。
負けるわけにはいかない。しょうもないけど。
元から運動神経がそれなりに良かったから別にわざわざコーチをつけるほどでもなかったのだ、本当は。
簡単に言うと、蕾ちゃんに近づく口実。
冷たいようでものすごく優しい蕾ちゃんがずっと気になっていた。
高一の頃からだ。
篠宮さんに話しかける蕾ちゃんの笑顔と、クラスでの人を寄せ付けない態度。
どこか違和感を感じていた。
ときたま寂しそうな表情さえ見せていた。
好んで《独り》になるやつなんていないから。
気になって気になって──いつの間にか、恋をしていた。
そして、
「蕾ちゃん、俺が勝ったら付き合って」
「え?」
真っ赤な顔をするから魔が差した。
「し、試合まえでしょ。何言って…」
「嫌なら、逃げて」
顔を近づける。
唇に触れた、温かいもの。
彼女は、逃げなかった。
でも。
「ごめん、無理」
何で謝るんだよ、そう言いたかったけど言葉が出てこなかった。
何で、そんな顔。
そんな泣きそうな顔をするんだ。
名残惜しくも審判に呼ばれて、コートへ向かう。
蕾ちゃんの表情と、痩せた身体に注ぎこむ大量の薬が気になっていた。
今までが、彼女の精一杯とも気づかずに。


